40代・50代女性の更年期疲労を回復させる食・生活習慣!

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更年期に入りなぜか寝ても疲れが取れない、だるい、体が重い、夕方になるとどっと疲れがでるなど、疲労の問題をお持ちではありませんか?食・生活習慣を見直すことで疲労回復の効果が期待できます。毎日元気でいきいきと過ごせるための食・生活習慣についてお伝えします。

更年期疲労の原因

毎日しっかり睡眠をとっている、週末ゆっくり休んだのに体がだるい、毎日疲労がとれないと感じるのは、運動など体を動かすことによって起こる「肉体的疲労」、人間関係、ストレスなど心の疲れが原因とする「精神的疲労」、脳が緊張した状態が続くことによって起こる「神経的疲労」とは異なり、更年期症状の1つの「更年期疲労」かもしれません。
更年期疲労の原因は、ホルモンバランスが乱れることにより自律神経のバランスが乱れるのが一因です。
女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、卵巣から分泌されています。卵巣に女性ホルモンを出すように指示しているのは、脳の中にある視床下部。
しかし、更年期に入るとホルモンの分泌のコントロールがうまくいかなくなり、卵巣の機能が低下し、視床下部からの指示に応えられなくなり、視床下部のコントロール下にある自律神経にも影響を及ぼしてしまうそう。
自律神経のバランスが乱れることにより体温の低下、臓器の機能や睡眠の質の低下などが重なって疲労・倦怠感が起こると考えられます。

<参考文献>
株式会社世界文化社 著者高尾美穂 「いちばん親切な更年期の教科書」2021年10月25日発行
株式会社青春出版社 著者永井京子 「はじめまして更年期♡」2020年7月25日発行
株式会社つちや書店 監修対馬ルリ子 「プレ更年期1年生」2019年6月25日発行
株式会社三省堂書店/創英社 解説・安達知子、加藤礼子、高尾美穂、小野陽子、吉川千明、増田美加「だいたい更年期いつでも不調な私をラクにするヒント」2021年9月10日発行

更年期疲労を回復させる3つのポイント

更年期疲労を回復させるには、適度な運動・食事のバランス・良質な睡眠がとても大切です。

適度な運動

体がなんとなくおもい、だるいなどの理由でついついゴロゴロしたくなりますが、更年期症状の不調を改善するのには適度な運動が必要です。

ランニング、筋トレなどの激しい運動は必要ありません。気軽に行えるウォーキングがおすすめ。自律神経には、緊張モードのときに優位になる「交感神経」と、休息モードのときに優位になる「副交感神経」の2つがあり、これらの神経が互いにバランスよく働くことで正常な状態を保つことができます。ウォーキングのように一定の動作をリズミカルに行う有酸素運動は、交感神経と副交感神経のバランスを整える効果が期待できますよ。また、気分転換やストレス解消につながります。これまで、運動をしていなかった人が、1時間走るなどの高い目標を掲げてしまうと、続けられなくなります。大切なのは、運動の習慣をつけることなので、10分散歩するなどできそうな事からチャレンジしましょう。

バランスのよい食事

私たちの体は食べている物でつくられています。朝はパンだけ、シリアルだけなど偏った食生活により、ビタミンやミネラルなどの身体の機能を調整する栄養素が不足してしまうと自律神経が乱れやすくなるので、バランスのよい食事を意識しましょう。また、腸は第2の脳と呼ばれ、自律神経と密接な関係がありお互い影響し合っています。バランスよくとるとビタミン、ミネラルだけでなく、食物繊維も自然にとれるので腸内環境が整いやすくなります。
食事を抜くとエネルギー不足になり疲れやすくなるため、仕事で疲れて食欲がない時でも食べられそうなものを食べましょう。料理をするのが億劫な時は、コンビニやスーパーの惣菜を取り入れてみてはいかがでしょうか。
栄養素は単独では働くことができずチームで働くので、ごはん、パン、麺類などの「炭水化物」、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品の「たんぱく質」、野菜、海藻などに含まれる「ビタミン」「ミネラル」を食事の中にバランスよく取り入れてくださいね。3食バランスよく食べると体力が落ちにくくなり疲れにくい体になるでしょう。

良質な睡眠

しっかり睡眠をとると交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいき、自律神経が乱れにくくなりホルモンバランスが整いやすくなります。また、疲労回復には十分な睡眠も大切です。
脳内の神経伝達物質のハッピーホルモンと呼ばれる「セロトニン」は、朝日を浴びる事により分泌が活発化されます。セロトニンの分泌が活発化されると睡眠に必要なホルモンの「メラトニン」の分泌が増加し睡眠にいい影響をもたらします。
睡眠を促すホルモンの「メラトニン」は体内で合成することのできない必須アミノ酸のひとつ「トリプトファン」からつくられるため、豆腐などの大豆製品や鶏肉、卵、乳製品など「トリプトファン」を多く含む食べ物を日々の食事に取り入れましょう。

入浴をすると気持ちがリラックスしたり、体が温まるので不眠の改善効果が期待できますが、寝る直前に熱い湯船につかると交感神経が優位になり寝つきが悪くなります。入浴するタイミングも大切です。
就寝の2~3時間前に38度位のぬるめのお湯に20分〜30分または、42度の熱めのお湯なら5分程度つかるのが理想だそう。約40度のお湯で30分ほどの半身浴も寝付きをよくする効果が認めてられているそうです。
自分の体調や好みにあった入浴を選択してくださいね。

<参考文献>
株式会社世界文化社 著者高尾美穂 「いちばん親切な更年期の教科書」2021年10月25日発行 株式会社三省堂書店/創英社 解説・安達知子、加藤礼子、高尾美穂、小野陽子、吉川千明、増田美加「だいたい更年期いつでも不調な私をラクにするヒント」2021年9月10日発行 株式会社つちや書店 監修対馬ルリ子 「プレ更年期1年生」2019年6月25日発行 株式会社青春出版社 著者永井京子 「はじめまして更年期♡」2020年7月25日発行 株式会社マガジンハウス 監修小林弘幸総 「Dr.クロワッサン 名医が教える腸ストレッチで自律神経はよみがえる。」 厚生労働省e-ヘルスネット「自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html 厚生労働省e-ヘルスネット「更年期障害」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html
厚生労働省e-ヘルスネット「メラトニン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
厚生労働省e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html

大豆のスープ

大豆のスープ

大豆製品には、女性ホルモン「エストロゲン」(卵胞ホルモン)に似た働きがあります。更年期対策にオススメのレシピです。

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ポキ丼

ポキ丼

エネルギー源のごはんをしっかりとれます。火を使わないので、忙しい人でも手軽に作れますよ。

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疲労回復におすすめの食べ物!

更年期疲労回復の効果が期待できる食べ物をとるようにしましょう。

鉄は、血液中の赤血球に含まれている「ヘモグロビン」という成分の材料になります。「ヘモグロビン」には全身に酸素を運ぶ働きがあるため、不足すると鉄欠乏性貧血になり体が酸欠状態になるため、頭痛、めまい、食欲不振などの症状を引き起こしますが、食事に鉄を含む食べ物を取り入れることで鉄欠乏性貧血を防げます。

鉄は肉や魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と野菜や大豆製品などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2つに分けられます。ヘム鉄の吸収率は15~25%、非ヘム鉄の吸収率は2~5%です。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて吸収率が高いため、赤身の肉や魚などを食事に取り入れましょう。

【鉄分を多く含む食べ物】
レバー、牛肉、カツオ、マグロ、アサリ、納豆、小松菜など

クエン酸

酢やレモンなどの柑橘類に含まれる「クエン酸」には、疲労物質の乳酸を分解する働きがあります。お酢ドリンクなら手軽に「クエン酸」がとれますよ。また、「クエン酸」を含む酸っぱい食べ物や調味料には、食欲増進効果があるので食欲がないときに酢や梅干しを料理に加えエネルギー不足になるのを防ぎましょう。

【クエン酸を多く含む食べ物】
梅干し、レモン、グレープフルーツ、みかんなどの柑橘類など

ビタミンB1

「ビタミンB1」は、炭水化物に含まれる糖質の代謝をサポートします。
「ビタミンB1」をとると糖質の代謝がスムーズになり、乳酸などの疲労物質が蓄積されにくいため、疲労回復の効果が期待できるでしょう。
また、神経の働きに深くかかわっている栄養素ですので、更年期疲労対策には欠かせません。
ごはんを雑穀ごはんにするだけで手軽に「ビタミンB1」が摂れます。また、白米に比べビタミン、ミネラル、食物繊維の量が増えるので疲労対策にオススメです。

【ビタミンB1を多く含む食べ物】
豚肉、玄米、雑穀、うなぎなど

アスパラギン酸

人のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸は、体内で十分に合成できない9種類の「必須アミノ酸」と体内で脂質や糖質から合成できる11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます。栄養ドリンクにも含まれる成分、非必須アミノ酸の一種「アスパラギン酸」はエネルギーの代謝に関わり疲労回復、スタミナの増強に役立ちます。

「アスパラギン酸」=「アスパラガス」のイメージをお持ちかもしれません。
実は、スーパーで手軽に購入できるもやしにも「アスパラギン酸」が含まれています。価格が安定しているので食事に取り入れやすいですよね。また、エネルギーが低いためお腹まわりが気になる人も罪悪感なく食べられます。

【アスパラギン酸を多く含む食べ物】
アスパラガス、もやしなど

食生活を変えることで少しずつ体が変化しホルモンバランス、自律神経のバランスが整い元気でいきいきと過ごせる体になるでしょう。

<参考文献>
成美堂出版 中村丁次監修「栄養の基本がわかる図解事典」2020年03月02日発行
リラベル社 白澤卓ニ監修 クスリごはん老けない食材とレシピ 2019年3月28日発行
株式会社西東社 監修飯田薫子、寺田あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」2020年3月25日発行 株式会社学研プラス 監修白鳥早奈英「最新版 知っておきたい栄養学」2018年10月12日発行

当コラムは、ご利用者の健康状態や医療の必要性に言及したものではありません。また、当社は、情報自身について、その内容の真偽、適格性、正確性について保証や責任を負うものではありません。

鶏レバーとほうれん草の卵とじ

鶏レバーとほうれん草の卵とじ

鶏レバーには鉄が豊富に含まれています。甘辛味でごはんに合いますよ。

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小松菜と大豆もやしのごま酢和え

小松菜と大豆もやしのごま酢和え

一皿でたんぱく質、野菜がとれるレシピです。酢のクエン酸で疲労回復の効果が期待できます。

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吉田理江

ダイエットコーチ吉田 理江

栄養士/調理師/料理研究家

飲食店で勤務後、料理研究家のアシスタントを経て独立する。コラム執筆、レシピ開発、料理教室主宰などを経験。現在はダイエットコーチとして活動中。「我慢しない!過度な運動なし!お腹いっぱい食べて綺麗に痩せられる」リバウンドしないダイエット方法を提案し、年間100人以上のサポートを行っている。

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