50代以降の女性は動脈硬化になりやすい?予防に必要な食事とは。

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40代後半から50代にかけての更年期の時期は、女性の動脈硬化のリスクが高まるといわれています。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすため命の危険につながります。そのため、早めの予防が必要です。動脈硬化は自覚症状がないので、日々の食事から予防を意識しておきましょう。

動脈硬化とはどのような状態?

動脈硬化とは、血管の内側の壁が分厚くなり硬くなることで、柔軟性が失われている状態です。血管が硬くなると、血流が悪くなったり、詰まったりすることがあるため、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。動脈硬化の原因には、遺伝や加齢、飲酒、喫煙などの生活習慣が関係しています。男女ともに、年齢が上がるにつれ動脈硬化のリスクは高まりますが、特に女性は閉経を迎える更年期になるとリスクが上がりやすく予防が必要です。

女性は更年期から動脈硬化のリスクが高まる

女性は40代後半から50代にかけての更年期から、動脈硬化のリスクが高まります。更年期を迎えた女性は閉経し、女性ホルモンのバランスが崩れることが関係しています。

閉経すると女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が減少します。エストロゲンは、妊娠や出産に関与するだけでなく、脂質の代謝などにも関係しており、血管の劣化を抑えて動脈硬化を予防するのに欠かせないホルモンです。

悪玉コレステロールの増加を抑え、善玉コレステロールを増やし、血管が正常に機能するようサポートする働きがあります。更年期を迎え、エストロゲンが減少すると、悪玉コレステロールが増加し、血管の弾力性が低下することで血圧も上がるため、動脈硬化のリスクも高まります。

若いころと同じような食事をしていても、体重が増加してきたり、コレステロール値が高まることがあるのはそのためです。そこで、更年期以降の女性は日々の生活の中で動脈硬化の予防を行っていくことが必要となります。

更年期の女性が血液をサラサラに保つには

動脈硬化を予防するためには、日々の食事から血液をサラサラに保つことと、血管の劣化を防ぐ必要があります。

特に意識したいのは、油の質です。お肉が好きで、よく脂身の多い部位を食べている方は要注意。お肉の脂身には、飽和脂肪酸という脂質が多く悪玉コレステロールを上げる作用があります。お肉が好きな方は、食べる量や頻度を減らしたり、部位をバラやロースなどの脂身の多いものからモモなどの赤身の多い部位に変えるようにしましょう。

良質な油としておすすめなのは、アジやサバなどの青魚に含まれている脂です。青魚に含まれているDHAやEPAは、悪玉コレステロールを減らし血液をサラサラにする効果が期待できます。

この他に意識したいのは、野菜、海藻、きのこを食べることです。特に根菜や海藻、きのこには食物繊維が多いため、悪玉コレステロールを低下させ血液をサラサラに保つために役立ちます。野菜や海藻、きのこは、食事全体のボリューム感も増してくれるので、肥満傾向のある方は特に意識して食べてほしい食べ物です。

肥満も動脈硬化のリスクを高めます。更年期の女性は、今までと同じ食事をしていても太りやすくなることがあるので、野菜、海藻、きのこで食事のボリューム感を増し満足感を高めることで食事の量を調整しましょう。野菜、海藻、きのこを食べる習慣がない方は、まずは2~3種類の野菜やきのことワカメを入れたお味噌汁やスープなどをつけてみるのはいかがでしょうか。温かい汁物がプラスされることで、食事の満足度も高まります。

<参考文献>
中村丁次(2017)『もっとキレイに、ずーっと健康 栄養素図鑑と食べ方テク』朝日新聞出版

さばのみそ包み焼き

さばのみそ包み焼き

良質な脂のサバと食物繊維豊富なきのこがまとめて食べられるレシピです。

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のっぺい汁

のっぺい汁

野菜を手軽に摂るには汁物がおすすめ。

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特に食べ過ぎに注意したいもの

動脈硬化の予防を意識した時に控えてほしいのが、アルコール飲料と甘いお菓子です。アルコール飲料は、適度に楽しむ分には百薬の長といわれていますが、飲みすぎると血圧が上がり、動脈硬化のリスクも高まります。

50代女性のアルコール飲料の適量は、純アルコールで1日20gとされていて、ワインならグラスで1~2杯、日本酒なら1合程度です。女性は男性よりもアルコール分解速度が遅いので、男性の半分~2/3程度に抑えておく方がよいとされています。さらに年齢とともにアルコール分解速度は遅くなっていくので、リスクの少ない飲酒量としては純アルコールで1日10g程度に抑えておく方が好ましいです。飲みすぎに気をつけて、適量を楽しむようにしましょう。

甘いお菓子を食後のデザートや間食として食べる習慣がある人は、生クリームたっぷりのお菓子より果物のほうがおすすめです。果物には、水溶性食物繊維を多く含むものが多いのでコレステロールを下げる効果も期待できます。特に、ブルーベリーやキウイフルーツは手軽に食べやすく食物繊維も豊富なのでおすすめですよ。

<参考文献>
『e-ヘルスネット』厚生労働省https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-003.html

ベリーヨーグルト

ベリーヨーグルト

たんぱく質、カルシウムが摂れるヨーグルトもデザートにおすすめです。

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メリハリのある食事で人生を楽しもう

更年期の女性が動脈硬化のリスクを減らすためには、まずはご自身の生活習慣を客観的に振り返ることが大切です。食べ過ぎている場合は、減らしていく努力が必要ですが、制限された食事では楽しみも失われてしまいます。楽しむことを目的とした食事と、体のケアを優先した食事とメリハリをつけていくことで、動脈硬化の予防も行いながら、食事も楽しめるのではないでしょうか。

予防だけを意識して、食事を楽しめなくなっては意味がありません。これから先の人生を楽しむためにも、メリハリをつけてポジティブな気持ちで食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。


※当コラムは、ご利用者の健康状態や医療の必要性に言及したものではありません。また、当社は、情報自身について、その内容の真偽、適格性、正確性について保証や責任を負うものではありません。

中西由紀

管理栄養士/フードコーディネーター/雑穀エキスパート中西由紀

大学在学中にフードコーディネーターの資格を取得し、料理教室や雑誌などの料理撮影のアシスタント経験を積む。
大学卒業後は、管理栄養士として社員食堂で勤務する傍らレシピ開発やコラム執筆などの活動を開始。その後、料理人のアシスタントや野菜の販売員を経験し独立。
現在は、雑穀でダイエットや肌荒れを克服した自身の経験と野菜販売員の経験を活かし、雑穀と野菜を使ったレシピ開発、ダイエット、健康系のコラム執筆などを中心に活躍中。

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