著・編 酒匠・きき酒師 SSI研究室専属テイスター E
ボブとアンジー運営担当 純米派リーマン酒匠。ワインエキスパート。給料の衣食住配分は2:7:1。
お酒あっての美味しい料理。酒匠が気になる日本酒にあうおつまみレシピ
【今夜のTSUMAMI】
141 kcal(ダンベル運動 14分) 糖質 12.2g
白ワイン感覚で楽しめるシュワっと感と、甘味も感じられる純米大吟醸酒には、 洋風前菜系で素材のシンプル感とチーズや長いもの甘味がバランスされた揚げ物もあいます。
【今夜のSAKE】
新政 佐藤卯兵衛 ひやおろし
代々蔵元が引き継ぐ当主名「佐藤卯兵衛」と命名された香り高い純米大吟醸。
桃やバナナなど熟したフルーツを思わせる華やかさは、日本酒というより白ワイン的。
和食より、ワイン感覚で洋食にあわせるほうがしっくりきます。
(精米歩合麹米40%、掛米45%)
約80年前、5代目佐藤卯兵衛と当時の技術者の手により、現在も醸造協会から市販されている最古の酵母「きょうかい六号」(新政酵母とも呼ばれる)を排出したのが、この新政酒造(あらまさしゅぞう)。
「米の違い」をテーマに、各担当が異なる米で酒を仕込んでみたり、「流派の違い」で、仕込み方を変えてみたり、という具合に、テーマを決めて、コンテスト用に3~4人の担当者がそれぞれ試作品をわずかだけ仕込み、その中から出品酒を選定するなど、毎年新たな研究を続けている。
蔵のこだわりについてこたえてくれたのは、8代目佐藤卯兵衛、代表取締役の佐藤祐輔氏。
「米のできがあまり良くない年は、技術でカバーしていくことが必要です。
ただ、技術が過剰になりすぎると、どんな米でもお酒を作れてしまって、
米の特色が生かせないことにもなりかねないから、そこはコントロールが必要です。
酵母は生き物だから、思うようにはいきません。
極端な話、発酵したらこんな酒できました~で出荷することになる。
しかし、食べ物である以上、くらいついてでも自信と責任を持って出荷できるものに
何が何でもおとしこまないといけません。
そのために、経験をとおして技術や知識を身に着けておくことが必要なのです。
-一番のこだわりは?
-「わかりやすい酒を造りたいですね。
ブドウが主な味わいの要素であるワインとは異なり、
日本酒は、米、水、酵母が味に影響するので、複雑になりがちなので。
わかりやすくありながらも、蔵のアイデンティティはわかってもらえるように出したいので、六号酵母で造りますし、原料の米は、山田錦や雄町もいい米だけど、米どころならではの秋田の米ー秋田酒こまちを中心に、秋田産の酒造好適米を6~7種類ー使っています。精米はすべて自社で行い、食用米は使いませんね。」
-お酒の味わいもフルーティーなもののバリエーションや、頒布会や限定のお酒のボトルもワインぽいものが何種類もあるようですが・・・?
-「昼間にワインボトルを持っててもパーティーにでも行くのかなって感じですが、(古風な瓶をさして)コレもってると、飲んだくれにしか見えないでしょ?(笑)
味もそう。近年、若い世代の好みは、特別純米酒や純米酒、吟醸酒以上へシフトしてはいて、地酒も昔ながらのものにかわり、インターナショナル酒が今の多様な食生活にあうのです。
世界で戦うには、昔のように、酒臭い、醤油臭い酒ではなく、洗練された酒でなくてはなりません。業界全体的に今はその洗練段階ではないでしょうか。
でも、一方で、それも度がすぎると、日本酒の特色がなくなって、
日本酒って何?ってなってしまうと思うので、いずれ原点回帰して、ちょうどいい中間地点におちつくことにはなると思いますよ。」
ボブとアンジー運営担当 純米派リーマン酒匠。ワインエキスパート。給料の衣食住配分は2:7:1。