EPAやDHAが豊富「はも(鱧)」の栄養とおすすめレシピ♪

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鱧には、DHA、EPAがたっぷり含まれており、特に「えんがわ」と言われるところにはコンドロイチン硫酸が多く含まれています。小骨も骨切りするだけで一緒に食べてしまうのでカルシウムもとりやすいです。
DHA、EPAには、アレルギー症状の緩和、学習能力及び記憶力向上、コレステロール低下作用、血栓抑制作用などがあり、高血圧や動脈硬化の予防にも有用とされます。
コンドロイチン硫酸は組織の働きを保ち、老化を防ぐ作用があると言われている為、軟骨や関節、皮膚、臓器、眼球などの組織の弾力性を維持する働きがあり、コラーゲンと同じく、身体の構成成分となっています。美肌にも効果が期待できる食材です。

はもの天ぷら三種塩添え

はもの天ぷら三種塩添え

冷えた衣を少量ずつ作ることがポイント。衣は置いておくとすぐにねばりが出てしまいます。半量を合わせ、足りなくなればまた水と粉を追加して混ぜ、作りたての衣で揚げてください。サクサクが持続して美味しいてんぷらになります。すだち塩を添えることで、すだちの皮に多く含まれるカリウムが塩分の排出を促し、ビタミンAが美肌効果を向上させます。

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はもの種類と旬

夏(6~7月)
  • 別名:夏鱧、祭り鱧

産卵を控えた暖かくなってからの6月から7月あたりまでが夏の旬です。「梅雨の水を飲んで育つ」と言われるサッパリした味の夏のはもは湯引きが美味しいです。8月には産卵が始まってしまい卵も抜けて痩せてしまうのでそれまでに食べて下さい。漁の最盛期は9月頃にピークを迎えるので、8月から9月にかけては価格が一気に下がり手頃となりますが、脂がないのでフライなどにむいています。

秋(10~11月)
  • 別名:秋鱧、金鱧、名残り鱧、松茸鱧

晩秋あたりに獲れるものは、産卵後に旺盛な食欲を満たし身が肥え、脂が乗ったものとなり、体表が金色を帯びてきます。また、よく動くので身も厚くなり味わいも濃厚になります。「金はも」や名残惜しいので「名残り鱧」、松茸と一緒に土瓶蒸しにすることから「松茸鱧」と呼ばれ、こちらも秋の旬となります。湯引きも美味しいですが、濃厚な味わいは片栗粉をまぶして閉じ込めた牡丹鱧や、出し汁まで頂ける鍋等がむいています。

はもフライの梅肉らっきょうタルタル添え

はもフライの梅肉らっきょうタルタル添え

ソースでもおいしいフライを和風タルタルソースで。はもをふんわり揚げる時は、揚げ過ぎないように。低温で時間が長すぎたり、高温過ぎると火が通るまでにパサついてきてしまいます。細かに切り込みが入っているのですぐに火が通るので、170℃で1~2分を目安に揚げてください。梅肉とらっきょうの入ったタルタルソースを添えることで、梅が胃腸を調え、らっきょうの硫化アリルが、ビタミンB1の吸収を通常の7倍にも高め、血液を浄化、血行をよくし、血をサラサラにしてくれます。

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はもをスーパーで選ぶポイント

鱧は、生きている間に活〆することにより、白く透明な身が引き締まった状態になり、くさみがなく味わい深い鱧料理となります。色白で透明感のある鱧を買いましょう。

活〆しないものを野〆鱧といい、身質は血がまわってピンク色でくさみがある為、照り焼きやフライなどに利用します。また、鱧は雌は2mにもなりますが、雄は60cm以下で青みがかっています。あまり美味しくはないので、雌で大きめの身を買ってください。
骨切りをしている切り口がべたりとつぶれているものは「しまり鱧」と言って、死後硬直後の少し古くなった鱧です。フライや焼き物で美味しく頂けますが、鍋や湯引きには少々くさみが残ります。白く透明感があり、骨切りの断面がはっきりしているもの、皮が黄金色に輝いているものを買ってください。

はもの唐揚げ甘酢和え

はもの唐揚げ甘酢和え

シンプルなはもの唐揚げを、さっぱり甘酢で南蛮漬け風に。きゅうりを添えることで、豊富に含まれるカリウムが塩分の排出を促し、甘酢で和えることで揚げ油を流してカロリーダウンになり、あっさりと食べられるようになります。

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はもを美味しく味わうための下処理や調理法、保存法

下処理
  • 骨切り

鱧の小骨は小枝のように枝分かれをして皮のすぐ下まで到達しています。よって小骨を抜くことが不可能で、口に触り食べることができません。それを薄く皮一枚のところまで骨切りすることで小骨が口に触らないようにし、且、火にかけると身が花のように開きふんわり食べられるようにする作業の事を骨切りと言います。こうして初めて美味しく食べられるようになる為必須の作業です。

調理法
  • 湯引き(落とし)

昆布だしの低温でサッと湯に通し、冷水に引き上げて冷やしてから食べます。鮮度が良ければ湯にさらしてそのまま食べたほうが薄まらず美味しくいただけます。湯に落とすので「落とし鱧」、身がちりちりと縮むので鱧ちりとも言います。

  • 牡丹鱧

湯引きにする前に片栗粉をまぶします。味わいが抜けずに濃厚で、滑らかな舌触りになります。鮮度の良いくさみのないものがむいており、お吸い物などお椀の種として使われます。松茸を加えて土瓶蒸しにしたりもします。

  • 鱧鍋

焼いた鱧の骨で出しを取り、淡路島や泉州の玉ねぎをたっぷりと入れて甘味を加え、湯引き鱧を加えてしょうゆベースの鍋で食べます。味わい濃厚で一番鱧の風味が楽しめる調理方法です。

  • 蒲焼

鱧を甘いたれで焼きます。鱧の棒寿司などにして食べることが多いですが、少々くさみのある鱧や小さい鱧でも美味しく頂けます。

  • 揚げ物

天ぷらやフライなどの揚げ物は、水分が衣の中に閉じ込められる為、ふっくらとやわらかく仕上がり、揚げた香ばしさでくさみも気にならない使いやすい調理方法です。

鱧の内臓

初夏から夏にかけての鱧の旬の時期には、丸のままの鮮魚や、骨切りした身だけの状態でたくさん出回りますが、捌く時に大体はお腹に卵を持っています。その卵や内臓だけを市場でも扱っており、スーパーなどにも出回ったりします。卵は少しクセがあるので、よく水にさらしてからサッとゆで、すぐに冷水に落としてから更にしばらくさらしておきます。たらこのように袋に入っている訳ではないので、見た目を綺麗に仕上げたい場合はあらい目のザルなどでほぐすようにバラすと良いです。お吸い物の具や、卵とじ、卵焼きに混ぜて使ったり、寒天などで寄せたりします。甘辛く煮付けるも美味しく、鶏卵の黄身のようなやさしいこくがあります。浮き袋や胃袋等も美味しく食べられます。

はものフリットあおさと七味風味

はものフリットあおさと七味風味

調理法として、揚げ物の中では、天ぷらやフライに比べ、フリットが最も水分が飛びにくく中身がジューシーに仕上がります。その分、臭みも残りやすいため、フリットにはハーブがよく添えられます。衣にあおさと七味を混ぜ込んで和風に。フリットに相性の良い、レタスをふんだんに添えることで食物繊維が補足できます。

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日本料理教室講師田村 佳子

栄養士/調理師/和憩カルチャースペース主催

大学で海洋水産資源の研究後、大手小売業水産担当として勤務。水産の流通を把握してから栄養士を所得。調理師専門学校の日本料理で勤務し、日本料理の技術と知識を習得した後、独立。2008年和憩カルチャースペースを開設し、得意の魚メインにした日本料理教室を開講している。朝日放送「おはよう朝日です」出演、市場や企業とのタイアップレッスン、行政施設などでの教室開講など活動中。

旬のお魚レシピ

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