女性の痛風対策に役立つ食べ物とは?

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手足の激しい痛みに悩まされることはありませんか?足の親指の付け根に強い痛みを感じられる方は痛風の可能性が高いです。痛風は食事との関係性が大きいため食事習慣を見直すことがとても大切になります。普段の食事のどんなところに気をつければよいのでしょうか。

痛風は女性でもなるの?

痛風は多量の尿酸が体内に溜まって関節などで結晶化して発作が起きる病です。特に足の指の関節などにできやすく、激痛が走るなど辛い症状が現れます。痛風は男性に非常に多い病ですが女性もリスクがないわけではありません。女性の場合は閉経後に注意が必要です。
女性はエストロゲンなどの女性ホルモンが尿酸の排泄を促しているため尿酸値は高くなりづらいのですが、閉経を迎えると女性ホルモンの分泌量が減ることで尿酸の排泄がされにくくなるため、尿酸値が高くなり発症リスクが高まるのです。

痛風の発作を起こす人の大半が高尿酸血症を患っています。高尿酸血症とは血液中の尿酸が増えすぎることで起こり、尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断されます。正常な方の場合は体内で作られる尿酸の量と尿へと排泄される尿酸の量がバランスよくなっています。しかしこれらのバランスが崩れることによって血液中の尿酸値が高くなるのです。
高尿酸血症は3つのタイプに分けられます。

  • 排泄低下型
     腎臓から尿へと排泄される尿酸の量が少ない
  • 産生過剰型
     尿酸がたくさん作られすぎるが、尿酸の排泄量は正常
  • 混合型
     尿酸がたくさん作られ、排泄量が少ない

日本人でもっとも多いタイプは排泄低下型です。

尿酸は体内で「プリン体」という物質が分解されて作られます。プリン体は食物からの摂取の他に、エネルギーが使われることでもプリン体の血中濃度が高まります。また核酸の構成成分もプリン体のため新陳代謝により古くなった核酸が分解されることでもプリン体が血中に増えます。閉経前後はプリン体の多い食べ物に注意が必要ですね。

<参考文献>
日塔書院本社 日高雄二・小山律子『組み合わせ自由な新レシピ付き 痛風の治療と食事療法』2015年4月10日発行
公益法人千葉県栄養士会『痛風の予防と食事』https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/preventive/tuuhuu/

食習慣の変化は痛風と関係がある?

痛風が日本で急激に増えたのは1960年代あたりからです。そのころの日本では食の欧米化に伴いパンや麺類、肉類、乳製品、卵などの動物性たんぱく質を食べる頻度が増え、高カロリー、高たんぱく、高脂質の食事へと変化していったのです。第二次世界大戦前までの日本の食事は米や野菜、大豆などを中心とした食事で、糖質主体であり低たんぱく、低脂質でした。食の欧米化が進むことでカロリーやたんぱく質、脂質の摂りすぎなどにより肥満が増加したのです。肥満は生活習慣病をはじめ高尿酸血症や痛風のリスクになりますから肥満を防ぐ必要があります。
自分が肥満かどうかを確認するにはBMI(ボディ・マス・インデックス)法での計算が便利です。
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗] で算出されます。
日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が「痩せ」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上は「肥満」に分類されます。この値を普通体重の範囲に納めることが望ましいですね。

また近年ではアルコールの摂取量の増加も高尿酸血症や痛風のリスクになっています。というのもアルコールはエネルギーの分解を進めてしまい結果プリン体が増え、尿酸が作られてしまうからです。
つまり油っこいものや肉類の食べすぎ、お酒の飲み過ぎは肥満や尿酸高値のリスクが高まるのです。まずは食生活を見直すことがリスク回避対策の1つになります。

<参考>
国税庁『酒レポート』https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2018/pdf/000.pdf
e-ヘルスネット『BMI』https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html
e-ヘルスネット『アルコールと高尿酸血症・痛風』https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html
e-ヘルスネット『高尿酸血症の食事』https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-003.html

しし唐みそのふんわりおにぎり

しし唐みそのふんわりおにぎり

主食のお米はプリン体の少ない食材です。

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菜の花と昆布の浅漬け

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旬の野菜は栄養が豊富。しっかり取り入れましょう。

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痛風対策におすすめな食事のポイントとは?

高尿酸血症や痛風対策には食習慣の見直しがとても重要になります。というのも気が付かないうちに小麦や肉類中心の洋食メニューになっていたり、乳製品が多くなりがちになっていることがあります。痛風対策におすすめな食事のポイントをまとめました。

痛風対策におすすめな食事のポイント

  1. 頻度の高い主食をごはん(米)にする
      ごはんは脂質が低い良質なエネルギー源です。1食あたり女性用茶碗1杯は食べましょう。
  2. 大豆製品を取り入れる
      納豆や豆腐、味噌など大豆製品からたんぱく質を補うことができます。
  3. 野菜や海藻類を毎食必ず取り入れる
      野菜や海藻類は尿をアルカリ性にし、尿酸の排泄を促します。
      お浸しや煮物、汁の具としてたっぷり入れましょう。
  4. プリン体の多い食品は控える
      【プリン体を多く含む食品】
      白子、あん肝、レバー、たらこ、かつお、いわし、えび、ビール、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリーなど
      食物から取り入れたプリン体は肝臓で代謝されて、最終的に尿酸となります。
  5. 調理は焼く、煮る、蒸すにする
      余計な油分を摂らずに食べることができてヘルシー。
  6. 水分をしっかり摂る
      水、又はお茶などの水分を多く摂り尿量を増やして尿酸の排泄を促します。
  7. 間食はフルーツを摂る
      ビタミンCが豊富なフルーツがおすすめ。
      キウイ 1個、いちご10粒程度、オレンジ1個、りんご1/2個など
      菓子類や甘いドリンクは控えましょう。
  8. アルコールは控える
      アルコールの中でも特にビールはプリン体が多いため控えましょう。
      プリン体が少ないビールもありますが、アルコール自体がプリン体を増やすので注意が必要です。
      女性は男性よりもアルコール分解速度が遅いため、純アルコール換算6g~7gが目安です。
      ワイングラスにワインを1/2杯、ハイボール150ml程度になります。

ごはんを中心に主菜、副菜を組み合わせるとスムーズに食習慣の見直しができます。パン食をはじめとする洋食や揚げ物などはたまに食べるお楽しみ程度にするといいですね。

<参考>
Mindsガイドラインライブラリ『2019年改訂 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001086/4/Clinical_Practice_Guidelines_of_Hyperuricemia_and_Gout.pdf
e-ヘルスネット『アルコールと高尿酸血症・痛風』https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html
公益法人千葉県栄養士会『痛風の予防と食事』https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/preventive/tuuhuu/

焼き豆腐のなめこめかぶとろろかけ

焼き豆腐のなめこめかぶとろろかけ

脂質の低い豆腐はカロリーコントロールにおすすめ。なめことめかぶが尿酸の排泄を促します。

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高野豆腐とわかめの味噌汁

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大豆製品と海藻の組み合わせは食改善にぴったり。

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最後に

40歳を過ぎたあたりから体の機能は衰え始め、閉経近くなるとホルモンのバランスにより体に変化が起こります。健康的に過ごすために早い段階で食習慣を見直すことは痛風だけではなく肥満や生活習慣病の点においても大切です。

雑穀入り春野菜のミネストローネ

雑穀入り春野菜のミネストローネ

野菜は加熱すると量がしっかり摂れます。朝食にもおすすめです。

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※当コラムは、ご利用者の健康状態や医療の必要性に言及したものではありません。また、当社は、情報自身について、その内容の真偽、適格性、正確性について保証や責任を負うものではありません。

金子あきこ

管理栄養士金子 あきこ

給食コンサルタント/節約美容料理®研究家

東京家政大学短期大学部栄養科卒業
10年以上給食委託会社にて特別養護老人ホームやデイサービス、幼稚園などにて調理や献立作成を行う。赤字を黒字転換する献立作成を得意とする。2015年に独立し給食施設のコンサル業務・レシピ開発・コラム執筆・セミナー講師・メディア出演など活躍中。著書『おなかぺったんこ腸筋レシピ』リピックブック など。

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