生活習慣病予防や骨を丈夫に「さんま」の栄養ととおすすめレシピ♪

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さんまは必須アミノ酸のバランスが良く、良質のたんぱく質が豊富です。 青魚の中でも特にEPAとDHAが豊富に含まれ、EPAには血液をサラサラにして血栓を予防する作用があり、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病を予防に効果的と言われています。
DHAは脳細胞に行き渡って脳内の細い血管にも弾力を与え、酸素や栄養素を全体に送り、体内の悪玉コレステロールを減らす作用もあります。
他にも、ビタミンやカルシウム、鉄分なども豊富で、特に精神を安定させたり血液の循環を良くしたり、貧血を予防したりするビタミンB2は他の魚の3倍以上。粘膜を丈夫にして眼精疲労にも効くビタミンAも豊富です。骨や歯の健康に欠かせないカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDも多く含まれており、成長期の子どもや中高年の方は、特に積極的にとりたい魚です。
また、さんまの薬効はおもに脂や肝にあり、脂を落とさずに内臓も一緒に食べることをおすすめします。

さんまの甘露煮

さんまの甘露煮

さんまの脂質に豊富に含まれているEPAやDHAには、血液の流れをよくする働きや、血液をサラサラにする働き、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らす働き、中性脂肪を減らす働きなどがあります。動脈硬化や高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、などといった生活習慣病にはとても有効です。また、さんまの骨ごと食べられる献立はカルシウムも豊富に摂取でき、骨粗しょう症にも効果的です。

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さんまの種類と旬

さんまは冷たい海流に住んでおり、夏から秋まではオホーツク海を回遊していますが、寒流が日本列島の南部まで張り出してくると親潮に乗って南下してきます。8月ごろ北海道で漁獲され始め、徐々に三陸沖から銚子沖まで南下してきます。そうすると餌であるプランクトンも豊富になり徐々に太って脂がのって、10月下旬には脂の乗りはピークになります。
さんまは沖縄以南まで移動するのですが、あまり南下しすぎて海水温が高くなってしまうと、せっかく体にためた脂が消費されて痩せてきてしまい、旬を過ぎてしまいます。
さんまは専用のサンマ船という船で北海道から徐々にさんまを追って南下しながら漁獲されるのですが、痩せたさんまはもう対象とはならないので、さんまがいても11月ごろに漁は終了し、流通しなくなります。旬の頃以外は冷凍、塩漬けが流通します。

  • ハシナガサンマ 

南太平洋・南大西洋・インド洋などに生息。

  • ニシサンマ

北大西洋に生息。体長は大きいもので40cm以上になります。

  • 太平洋ミニサンマ 

東部太平洋の赤道海域に生息。体長は数cm程度で、さんまの中でも小型の種類

  • 大西洋ミニサンマ

東部大西洋の赤道海域に生息。体長は10数cm程度の小型なさんま。

さんまと里いもの肝焼き

さんまと里いもの肝焼き

肝にはビタミンや鉄分などが豊富に含まれており、貧血防止に効果のある鉄分やビタミンB2、粘膜を丈夫にするビタミンA、また骨や歯の健康に欠かせないカルシウムの吸収を助けるビタミンDなどがとくに豊富です。肝も美味しく調理することで貧血予防や骨粗しょう症に効果的です。

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さんまをスーパーで選ぶ際のポイント

鮮度の見分け方

表面が銀色に輝いて照りがあるもの。
目が透き通っているもの(鮮度が落ちたさんまの目は、赤く濁っています)。
さんまの肛門がしまっているもの(鮮度が落ちるにつれ、肛門は緩んで開きます、又は肛門の周りの色が濁ってきます)。
くちばしの黄色が大きくはっきりしているもの(黄色いだけでは成熟した目安なので鮮度は判断付きにくいです)。

脂がのっているかどうかの見分け方

背中が盛り上がり、丸々とお腹も太っているもの。

さんまの「わた」が美味しいのは?

さんまを塩焼きにした時、肝である「わた」を好む人は多いですが、さんまには胃がなく、腸も短いので、餌を食べてから排出するまでの時間が非常に短いために、内臓にえぐみがなく美味しく食べることができるのです。また、肝が美味しいさんまは新鮮な証拠で、本来、甘味がありトロッとしています。漁獲後半日~1日で苦味が出てしまい、ほろ苦いわたを好む方も多いですが、本来の鮮度の甘味ある良い内臓を一緒に食べたい場合は、高価ではありますが1本釣りの新鮮なさんまを是非おすすめします。 また、時々わたがジャリッとする場合がありますが、これは網で大量に漁獲される時にこすれて取れてしまったうろこを、さんまが海水とともに飲み込んでしまったからで、食感が気になりますが食べても支障はありません。

さんまの手まりずし

さんまの手まりずし

さんまを生で食べることでビタミン類の加熱による破壊もなく、さらに脂も流れずに一緒に摂取できます。DHAやEPA等の豊富な脂質をビタミン類とバランス良くとることで動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病を予防に効果的です。

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さんまを美味しく味わうための下処理や調理法、保存法

まず、買ってきたらそのまま冷蔵庫に入れず、サッと真水で洗って汚れを取ってからよくふきとり、軽く塩をして30分ほど置いておきます。臭みの水分が抜けて身が引き締まり保存性もよく味わいもよくなります。よくふきとってから塩焼きならここではじめて塩をして焼きます。鮮度の良いうちに買ってきたらすぐ塩をなじませ、それから保存することをおすすめします。さばく場合は頭と内臓を取り除きます。そのまま保存すると鮮度が速く落ちてしまいますので、すぐにさばいてよく真水で洗い、よくふきとります。軽く塩をあてて染み出た臭みの水分をふき取ってから調理します。塩がなじんだら冷蔵庫で1日から2日、冷凍する場合は1ヶ月以内に食べてください。

酒蒸しさんまの吸い物

酒蒸しさんまの吸い物

さんまにはEPAやDHA、ビタミンAやB群、ビタミンD、カルシウムや鉄分などが豊富に含まれています。調理のときに流れてしまいがちな、これらの栄養をお汁ごと飲むことで余さず摂取でき、骨粗しょう症や血圧、代謝の気になる方へ向いています。さらに蒸して柔らかくすることで消化もよく胃腸の弱っているときなどの栄養補給に最適です。

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日本料理教室講師田村 佳子

栄養士/調理師/和憩カルチャースペース主催

大学で海洋水産資源の研究後、大手小売業水産担当として勤務。水産の流通を把握してから栄養士を所得。調理師専門学校の日本料理で勤務し、日本料理の技術と知識を習得した後、独立。2008年和憩カルチャースペースを開設し、得意の魚メインにした日本料理教室を開講している。朝日放送「おはよう朝日です」出演、市場や企業とのタイアップレッスン、行政施設などでの教室開講など活動中。

旬のお魚レシピ

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