高たんぱく低脂肪「えび」の栄養と、おすすめレシピ♪
えびは、高たんぱく低脂肪で、ビタミンEの含有量が比較的多いことが特徴です。アルギニン、タウリンなどを含む良質なたんぱく質は、疲労回復、滋養強壮、免疫力向上に有効で、強い抗酸化作用を持つビタミンEは細胞の酸化を抑え老化を予防する効果や、女性ホルモン・男性ホルモンの生成分泌に関与し生殖機能の維持に役立ちます。
また、含有量の多い、タウリン(アミノ酸の一種)には、血中の悪玉コレステロールを下げて善玉コレステロールを増やす作用があるとされ、血圧を正常に保ち、動脈硬化や貧血の予防に効果的です。さらに、味覚障害を予防する亜鉛や銅などの微量元素も多く、殻や尾には骨の強化作用があるカルシウム、便秘や冷え性に効果的なキチン質が多量に含まれています。
良質のたんぱく質が豊富で低脂肪、ミネラルが豊富なので、ダイエットをしている方にも適しています。できれば尾まで食べていただきたい食材です。
えびの香草パン粉グリル焼き
えびを殻付きで食べられるので、骨の強化作用があるカルシウム、便秘や冷え性に効果のあるキチン質も摂取でき、ダイエットをしている方にも適しています。
えびの種類と旬
冷凍輸入物には旬はほぼ関係ありませんが、国内のえびの旬は種類によって様々です。
例えば、いせえびの場合は10~4月が旬と言われています。冬の海は荒れていますが、この時期のいせえびこそが最も美味しいとされています。
くるまえびは、6~9月が旬と言われています。最近では養殖ものが一年中出回っているので、いつでも手軽に手に入れる事ができるため、明確な時期がわかりにくいですが、くるまえびはお盆の頃が一番と昔から言われています。
そんなくるまえびと入れ替わるように旬を迎えるのが、あまえびです。あまえびは一年を通して漁を行う事ができるので、一年中いつでも食べられますが、9月から2月が最も美味しい時期と言われています。
このように、えびと一言で表しても旬の時期はそれぞれ異なり、美味しく味わうためには旬を抑えておくことがコツです。
- くるまえびの仲間
ブラックタイガーはじめ冷凍輸入物のほとんどが、くるまえび、大正えび同様のクルマエビ科のえびの一種です。ブラウン、ピンク、ホワイトなど体色によって分類され、代表的な産地名を付けてメキシコ・ブラウン、ギアナ・ピンク、インド・ホワイトなどの名で流通しています。
ブラウン系のうち、縞模様のあるものは特にタイガーと呼ばれ、プリッとした食感が強く、日本のくるまえびもタイガーの一種です。くるまえび類は加熱したほうが甘味が増す特徴があり、種類により甘味、うま味、食感はそれぞれです。
- あまえびの仲間
あまえび、ぼたんえび、とやまえびなど、日本でも流通名や地方名により呼び方に大きな混乱が生じていますが、タラバエビ科の仲間です。一般的に「ほっこくあかえび」は「あまえび」、「とやまえび」は北海道では「ぼたんえび」と呼ばれ、ほかに「しまえび」「ぶどうえび」などがあります。
あまえびと言われるように非常に甘味の強いえびです。他のえびとは違った、独特のとろけるような食感があり、日本では刺身が定番ですが、海外ではボイルして食べることが主流です。
頭に生殖腺があり、成熟してくると頭が黒くなり、これを内子と呼んでいます。その後、その卵は腹に抱えられるようになり外子と呼ばれ、緑色で珍味とされています。
- いせえびの仲間
いせえび、ロブスター、うちわえびが代表種。これらは死ぬと自己消化しやすいので、活物を料理して食べるのが一番で日本では刺身がよく食べられます。加熱調理にも活物を使うのが原則で、肉質がしっかりしているので、ミディアムレア程度に加熱したものが味も歯ごたえも最高です。
肉質が緻密であるからですが、味をしみ込ませるのが容易ではなく、味をからませる料理に向いています。すなわち、クリーム煮やグラタン、トマトケチャップとチリソースを使った炒め煮など。また、頭をぶつ切にして煮立て、みそ汁にするとエキスが出て最高の味となります。
西京えびと夏野菜の串焼き
ビタミンEの含有量が多いえびに、カロテン、ビタミンCが豊富な万願寺唐辛子、パプリカを合わせています。活性酸素の働きを抑制し、老化予防や美肌に効果的です。
えびをスーパーで選ぶ際のポイント
「有頭殻付きのえび」は、頭が明るくてきれいな色のものを選びます。「無頭殻付きのえび」は肉質に透明感、殻にぬめりと光沢があるものを選びます。鮮度が落ちるとともに殻の光沢がなくなり、肉質は乳白色になり、においが出てきます。肉質が完全に透明なものは、鮮度のとてもよい生の活物で、高価な刺身用になります。
一般的には冷凍解凍もので白濁していますので、その中でも濁りの少ないものを選んでください。
「むきえび」は洗って味が抜けているため、できるだけ殻付きを購入し、自身でむいて使うことをおすすめします。
くるまえび類は大きさで味は基本的に変わりません。料理に合わせて選びます。
解凍えびよりも冷凍えびを選びます。「解凍もの」は、解凍の過程で生臭さが出て、鮮度も落ちやすいので、すぐに食べるか、冷凍えびを買って自宅で食べる量だけ解凍するのがおすすめです。
殻のやわらかいものは鮮度とは直接関係なく、脱皮直後のため殻がやわらかくなっており、鮮度の問題ではありません。
えびとお漬け物の手まりずし
老化を防ぎ、夏場の疲労回復に役立つ主食です。お漬物の乳酸菌で腸内環境の改善にも効果が期待されます。
えびを美味しく味わうための下処理や調理法、保存法
保存方法
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冷蔵
えびの頭と背わたを取り、水少々を加えた片栗粉をもみ込んだあと水洗いして水気をよくふき取ります。ラップで包むか、またはジッパー付き保存袋に入れて保存します。その日のうちに使い切ってください。
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冷凍
冷蔵と同様に下処理をして、トレイにラップを敷き、くっつかないように並べ、ラップで包んで冷凍しましょう。凍ったらジッパー付き保存袋に入れ、密閉して保存します。購入後、一度解凍したえびは、できる限りもう一度冷凍せず、使い切るか加熱して保存してください。ゆでてから水気をふき取り、粗熱を取ってからジッパー付き保存袋に入れて冷凍すると、生のままよりも組織の変化が少なく、美味しさが保たれます。生のまま冷凍した場合は2~3週間、加熱してから冷凍した場合は3~4週間が保存の目安です。
解凍方法
えび特有のうま味はグリシンやプロリン、アルギニンなどの甘味を持ったアミノ酸によるものです。これらの成分の中には、水に溶けやすいものもあり、冷凍えびは解凍されるときにうま味成分がドリップとして肉質から逃げてしまいます。なるべく冷凍回数の少ないえび、またはすばやく解凍したものがうま味があって美味しいです。うま味が水に流れてしまわないように、冷凍えびの解凍方法としては流水による急速解凍をし、解凍後は素早く水を切るよう注意します。またはジッパー付き保存バッグに入れたまま流水解凍するとよいでしょう。
調理方法
ゆでて使う場合は、えびのうま味が逃げないように、ゆで時間は短時間にします。ゆで過ぎるとうま味がお湯に溶け出してしまい、高温だとえびが縮んでかたくなって味が逃げてしまいます。沸騰しているお湯にえびを入れて、沸かさないように火を弱めながら2分だけ加熱してください。水にさらして冷ますと味が逃げるので、丘上げにし、熱いまま殻をむくと乾いてかたくなるため、冷めるまではそのまま。さらにしっとりさせたい場合は、煮汁などにつけて冷まします。煮汁のうま味を生かして、えびあんかけなどに使うのもおすすめです。
殻や頭の利用方法
殻や頭にもうま味があるので、だしを取るのに使いましょう。頭や焼いた殻をお湯で煮込んで、みそ汁やスープに使うと、うま味たっぷりのおいしい料理に仕上がります。
えびだしなすの煮浸しそうめん添え
煮汁までおいしく食べられるので、栄養素を摂取するのに有効です。なすの皮はアントシアニンが豊富で、血栓防止や目の疲労改善に効果的なので皮ごと食べましょう。なすは体を冷やすので、暑い夏場を過ごすには最適ですが、体を冷やしたくない方はおろししょうがを添えたり、温めて食べるなどがおすすめです。
日本料理教室講師田村 佳子
栄養士/調理師/和憩カルチャースペース主催
大学で海洋水産資源の研究後、大手小売業水産担当として勤務。水産の流通を把握してから栄養士を所得。調理師専門学校の日本料理で勤務し、日本料理の技術と知識を習得した後、独立。2008年和憩カルチャースペースを開設し、得意の魚メインにした日本料理教室を開講している。朝日放送「おはよう朝日です」出演、市場や企業とのタイアップレッスン、行政施設などでの教室開講など活動中。