風邪・インフルエンザに負けない免疫力UPのポイント3つ

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毎年、特にこの時期気になる風邪・インフルエンザ対策。 うがい、手洗いを徹底して、マスクを着けるなど気をつけていても、通勤電車や職場、スーパー、家庭などにおいて、 全ての感染ルートから体を守りぬくのは至難の業です。

毎日の食事から、しっかりと免疫力を高め、体の中からも対策して健康を保ちましょう。 免疫力アップのために必要な栄養素や食べ物を管理栄養士の西村美津子さんに教わります。

そもそも免疫とは?

免疫とは、ウイルスや病原菌など、体にとっての異物が体内に侵入したときに攻撃し、 異物から体を守ってくれる生体反応のことです。 免疫力とは、その反応の力のことで、免疫力が低くなるとウイルスや病原菌に侵されて、 インフルエンザや感染症など、病気になりやすくなってしまいます。

免疫力アップのポイント【1】 免疫細胞の活性化に必要な栄養素は?

異物が体内に侵入する入口は、口。 口から食べ物と共に入った異物(ウイルスや病原菌)と戦う免疫細胞の多くは、腸の内側の壁にあり、 体内の免疫細胞の約7割が腸にあるといわれています。

免疫細胞はたんぱく質からできており、良質なたんぱく質を摂ることで免疫細胞の活性化につながります。 免疫機能にかかわり、免疫細胞を強化する働きを持つ、鉄や亜鉛などのミネラルを多く含む食材も上手に取り入れて、 病気に対する抵抗力をつけましょう。

鯛のかぶら蒸しわさびあんかけ

鯛のかぶら蒸しわさびあんかけ

鯛には、血液を作るのに重要な働きをするビタミンB12、骨を強くするために不可欠なビタミンDなど、女性に不足しやすい栄養素も含まれています。寒い冬のごちそう、あんかけ料理。素材にやさしく絡み、ホッとする一品。

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免疫力アップのポイント【2】 腸内環境を整える栄養素と食材は?

大腸に生息する腸内細菌のビフィズス菌は、病原菌の侵入を防いだり、 有害菌の繁殖を抑えるなど、免疫力を高める作用を持つといわれています。 そのビフィズス菌の餌になり、腸内のビフィズス菌を増やす働きを持つのがオリゴ糖です。

オリゴ糖は20種類以上ありますが、その中でも部分消化性のイソマルトオリゴ糖や、 難消化性オリゴ糖のフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖などが腸内細菌に利用されるといわれており、 腸内のビフィズス菌を増やして免疫機能を向上させることができます。

これらのオリゴ糖は例えば以下のような食材に含まれます。
・イソマルトオリゴ糖→清酒、みそ、しょうゆ、みりん、はちみつ
・フラクトオリゴ糖→ごぼう、玉ねぎ、にんじん、アスパラガス、バナナ、にんにく
・ガラクトオリゴ糖→牛乳
・大豆オリゴ糖→大豆、豆乳、おから(※納豆は、発酵過程で納豆菌が煮大豆に含まれる大豆オリゴ糖を消費してしまうため対象外)
ごまみそ汁

ごまみそ汁

食物繊維の豊富な食材がたっぷり。鉄分、ビタミンB1、カルシウムも摂れます。ごまは老化予防に役立つビタミンEが多く含まれているので、美容にもおすすめ。

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免疫力アップのポイント【3】 免疫力を高める栄養素は?

免疫細胞の構成成分「たんぱく質」は、分解されて合成される新陳代謝を繰り返しています。 必須アミノ酸などの含まれるアミノ酸のバランスを考えて、 植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を上手に組み合わせて摂ると利用効率が上がります。

また、便通をよくして腸内環境を整える働きを持つ「食物繊維」も、免疫力アップには欠かせません。 食物繊維には、腸内で有用菌の餌となり、便のもととなる不溶性食物繊維と、 腸内で水に溶けて有害物質を体外へ排出する働きがある水溶性食物繊維があります。 (不溶性と水溶性の組み合わせについては、きちんとした比率はありませんが、 国民栄養調査では、水溶性が不溶性の1/3しか摂れていないという結果が出ています。)

水溶性食物繊維、不溶性食物繊維は例えば以下のような食材に含まれます。
・不溶性食物繊維が含まれる食材→小豆、大豆、干ししいたけ、アーモンド、干し柿、きのこ等
・水溶性食物繊維が含まれる食材→かぼちゃ、ごぼう、干し柿、納豆、かんぴょう、きのこ等
干し柿ときのこのソテー

干し柿ときのこのソテー

干し柿は生の柿に比べて、食物繊維の量が増え、β-カロテンやミネラル、カリウムなどが豊富です。干し柿の甘味がアクセントのかんたんソテー。ワインにも日本酒にもあう1品。

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「免疫力アップ」に必要な栄養素を意識するとともに、バランスのよい食生活でウイルスに対抗しましょう。 そして、風邪やインフルエンザにかかってしまった場合は、保温・水分などを心がけて安静に過ごしてくださいね。

管理栄養士西村 美津子

産業保健分野で働く方々の健康支援や、特別養護老人ホームで高齢者の栄養管理に携った後、 現在は、病院で特別な栄養管理が必要な方々を対象に、 低栄養予防や摂食嚥下機能の維持のためのチーム医療の一員として、日々奮闘中。
休日は、初孫の成長を見守りつつ、料理教室の講師、災害支援ボランティア等、管理栄養士として社会に役立てるよう活動の幅を広げている。

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