かぶの栄養と胃にやさしいレシピ
かぶのもっとも代表的な働きは「消化を高める」ことにあります。春の七草「スズナ」はかぶのことで、年末年始で疲れた胃腸を休ませるために食べる「七草粥」には、このかぶの効能も利用されています。
根にはビタミンCが豊富で、でんぷんを消化する酵素アミラーゼが含まれており、胃もたれや胸やけを解消し、さらに腸内環境を整える効果があります。
辛味成分のイソチオシアネートは殺菌作用、消化促進の働きがあり、ビタミンCは疲労回復によく、風邪などのウイルス感染に強い体を作るため、免疫力強化に効果的で、冬場の弱った胃腸や免疫力を改善するのに適しています。
葉は緑黄色野菜に属し、βカロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維が豊富で、実は根よりも栄養価が高くなっています。是非、葉も一緒に食してください。
疲れやすい方の胃腸に【かぶ×卵】
かぶに含まれる消化酵素アミラーゼや、辛味成分のイソチオシアネードが消化を促進させ、弱った胃腸を整えてくれます。卵とみそに豊富な良質なたんぱく質をバランスよく摂取でき、疲労回復にも効果的。
更に胃腸に負担なく摂取するためには、卵はかたく加熱するより半熟のほうが吸収がよくなります。溶き卵はふわふわに火を通して食べましょう。
かぶが一番おいしい時期やスーパーで選ぶポイント
かぶの一番おいしい時期
冬野菜ですが、種類がたくさんあり、秋から春まで長く楽しめます。特に、10月~11月の秋かぶは甘味が強く、3月~5月の春かぶはやわらかな食感が特徴です。
かぶを選ぶポイント
根は真っ白で傷がなく、水分をたくさん含んだずっしり重いものがよいものです。葉はしゃきっとしており、緑色が濃く、葉先がしおれたり黄色くなったりしていないものを選んでください。
冷え症の方の胃腸に【かぶ×かれい】
消化の良い食事といっても、体を維持するにはたんぱく質もバランスよく食べなくてはいけません。しかし、かたかったり、油が多いと消化に時間がかかり負担になるため、やわらかい白身魚がおすすめです。
かれいは脂の比較的多い魚ですが、かぶに含まれる消化酵素や消化促進作用のあるイソチオシアネードが消化を助け、しょうがの代謝促進作用でエネルギーを燃やして体を温めて血行もよくしてくれます。
かぶの保存方法
生の場合
葉と根を早く切り離してください。葉が成長するために、根の水分と栄養を吸い上げてしまい、甘味がなくなり「す」が入ってしまいます。かぶの上部を切り落とすように葉の根本ごと切り落とし、ラップをしてそれぞれ冷蔵保存します。根は1週間、葉は2日程保存可能です。
冷凍の場合
根は皮をむいてくし型や薄くスライスし、ラップに包んで生のまま冷凍します。繊維がやわらかくなるので、下ゆでの必要もなく、そのまま煮物や炒め物に使えます。葉は塩ゆでして好みの大きさに切り、ラップに包んで冷凍します。解凍してそのまま和え物に、みそ汁などに加えてもよいでしょう。どちらも1ヶ月程度保存可能です。
胸やけの方の胃腸に【かぶ×大根】
消化がよく脂分の少ないたらは、胃腸の弱っているときに最適なたんぱく質源になります。かぶだけでなく、大根にも消化促進作用が強く、加える野菜は千切りにして消化をよくし、大根おろしを最後に鍋に加えてサッと温めることで、ビタミンや消化酵素が破壊されずに沢山摂取できます。
温かい料理で体も温まり、血行も良くなるため、すでに胃腸がかなり弱っている方へもおすすめしたいメニューです。
かぶの基本の調理方法
根
皮の内側に繊維の層があるので、分厚く皮をむいて使います。生食可能ですので、サラダやお漬物で食べると一番栄養価をそのまま摂取でき、効能を得るためには効率的です。サッと炒めたり、1~2分程度煮て食べるとサクサクした食感が楽しめますが、火が通りやすいので、10分程度煮るだけでと十分ろりとやわらかく食べられます。煮すぎると崩れるので、また、ビタミンや酵素などの栄養素も破壊されてしまうので注意しましょう。
皮
厚くむいた皮は捨てるのではなく、他の料理に使えます。皮をむくというよりは食材を切り分けて、調理方法によって使い分けると考えるとよいでしょう。皮も金平などの炒め物や、ゆずを加えた甘酢漬などに利用すると、ぱりぱりした食感がよく美味しくいただけるので、簡単に1品プラスに利用してください。
葉
かぶの葉は、通常の葉物野菜よりは食感がかためで青臭みも多少強いですが、それがおいしい特徴でもあります。刻んでちりめんじゃこなどと炒めたり、湯がいて刻み、お汁の具に加えたり、刻んで塩もみし、さっと洗い流して漬物にしたりできます。冷凍しても食感や香りや色合いが強く残るため、使い切らない場合は冷凍ストックしておくと重宝します。
風邪気味の方の胃腸に【かぶ×豆腐】
豆腐の良質たんぱく質ややわらかく煮たかぶは、弱った胃腸でも負担なく消化できます。あんかけにすることで温かいまま摂取でき、体を芯から温めてくれ、煮汁に出た栄養素も逃さず食べることができます。
かぶの消化促進効果により胃腸の改善を計りながら、かぶに豊富なビタミンCで風邪予防も期待できます。
日本料理教室講師田村 佳子
栄養士/調理師/和憩カルチャースペース主催
大学で海洋水産資源の研究後、大手小売業水産担当として勤務。水産の流通を把握してから栄養士を所得。調理師専門学校の日本料理で勤務し、日本料理の技術と知識を習得した後、独立。2008年和憩カルチャースペースを開設し、得意の魚メインにした日本料理教室を開講している。朝日放送「おはよう朝日です」出演、市場や企業とのタイアップレッスン、行政施設などでの教室開講など活動中。