青じそのレシピ♪食べ合わせで夏バテ対策!

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青じその大きな特徴は清涼感のある香りです。これは「ペリルアルデヒド」という精油成分によるもので、強い抗酸化作用・防腐作用があり、食中毒予防や消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させて胃の調子を整える働きがあります。この効果から、刺身やお寿司など、日本料理特有の生食文化に青じそが薬味として深く根付き、古くから薬用として広く用いられてきました。
また、しそは、赤いアントシアン系色素(シソニン)の有る無しによって、赤しそ系と青じそ系に分けられますが、栄養価が高いのは青じそ、薬効があるのは逆に赤しその方だ、と言われています。
青じそに含まれるβカロテンの量は野菜の中でもトップクラスで、にんじんとほぼ同程度、かぼちゃの10倍以上もあります。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚を保護し、免疫強化や疲労回復に働きます。
さらにビタミンB群のうちB1、B2、B6、ビタミンC、E、Kも多く、ナイアシンも含みます。カルシウムが豊富なほか、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛なども豊富。人体に必要な成分がほとんど含まれていると言っても過言ではないでしょう。
従来よりよく知られている殺菌、防腐作用のほか、異常に働いていた免疫力を正常にもどす働きがあることが最近の研究によりわかってきて、アレルギー抑制効果が期待できるとされています。抗酸化作用もあり、老化予防に効果の高い栄養成分です。栄養価が高く、気軽に料理に組み合わせることができる青じそは、薬味だけではもったいない食材。ぜひ沢山活用しましょう。

青じその旬や種類は?

青じそは年間流通していますが、本来の旬は6~9月。香りがよくなり、栄養価も上がり、値段も下がるので、旬の時期がおすすめ。一方、赤じその旬は6月、7月あたりで、梅干をつける時期だけに出回ります。

  • 青じそ

青いしそで、葉のフチに細かい切れ込みが入っていて、先端がとがった形。葉の表面に縮みのある「あおしそちりめん」や、表が緑色で裏面が赤紫色の「かためんしそ」という種類もあります。

  • 赤じそ

赤しそには紫色の色素、シソニンが豊富で、抗酸化作用が強く美容や健康に効果的です。梅干し、しょうが漬け、ジュースなどによく使われます。

  • 芽じそ

青じそが発芽して本葉が出始めた状態の若芽である「青芽」と、赤しその若芽である「紫芽」があり、どちらも香りづけの薬味として使われます。似ているものに紅たでがありますが、こちらはタデ科の植物で、サイズも小さくピリッとした辛みがあり別のものです。

  • 穂じそ

刺身のあしらいなどにされる花の部分。香りづけにしょうゆや刺身に花をお箸でしごいて振りかけて食べます。天ぷらにしたりサラダにトッピングしてもよいでしょう。流通しているのは紫色の花で赤しそ、青じその花は白い色をしています。また、花が落ちて実が熟す前のものを穂しそ、熟して膨らんだものを実しそと言い、ほぐしたものはしその実、佃煮やしょうゆ漬けでも楽しめます。

活動的な方の夏バテ対策・・・青じそ×梅干し×鶏むね肉

梅しそ鶏天

梅しそ鶏天

梅に含まれるクエン酸は筋肉にたまった疲労物質である乳酸をエネルギーに変えるのに役立ちます。また、鶏むね肉に豊富なアミノ酸の一種イミダペプチドは、疲労の原因となる活性酸素を抑えて細胞へのダメージを防ぎ、疲労回復を促すのに働きます。
さらに青じそを加えることで、食欲を増進させて胃の調子を整えると同時に、豊富なビタミン・ミネラルも相乗してより効果的に疲労回復につながります。活動的な方におすすめの体力強化に役立つレシピです。

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新鮮なしその見分け方は?

  • 葉が葉先までぴんと張ってみずみずしく、色の濃いものを選びましょう。大きくなりすぎたものは、味も香りもあまりよくありません。
  • 花穂じそは、蕾(つぼみ)の多いものを選んでください、生花とは違い、すぐに花が咲いてしまいます。
  • 赤しそは、葉の裏が赤いものを選ぶとよいでしょう。

クールダウンで夏バテ対策・・・青じそ×きゅうり

しそみそきゅうり

しそみそきゅうり

きゅうりに豊富なカリウムには高い利尿作用があり、体の中心の熱を発散させ、体を中からクールダウンさせるのに役立ちます。
夏バテにとても効果的ですが、体の冷やしすぎも禁物。青じその抗酸化作用や食欲増進効果、豊富なミネラルとビタミン類を一緒にとることで、栄養バランスを整え、疲労回復に役立ちます。また、にんにくのスタミナ効果もあり、より効果的な夏バテ解消につながります。

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青じその保存方法は?

  • 冷蔵保存

水分を十分に保つことで長持ちさせることができます。濡らしたキッチンペーパーにくるんで保存容器や袋に密閉して冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。乾燥させないよう包めば、1週間保存しておくことができます。ただ香りがどんどん薄れていくので早めに使い切ってください。

  • 冷凍保存

さっと水洗いして水気を切り、ラップでしそ同士がくっついてしまわないように包んで密閉袋などに入れて保存します。1ヶ月ほど持つので、長期保存したい場合は冷凍にしましょう。刻んで使用する分は、切ってから冷凍をお勧めします。

  • 冷凍保存

さっと湯にくぐらせ、保存容器でしょうゆに漬け込み冷蔵保存も可能です。海苔の代わりにしょうゆ漬け青じそを巻いて食べたり、炒め物に細かく切って加えたりできます。

強い日差しに負けないからだづくり対策・・・青じそ×レモン

青じそシャーベット

青じそシャーベット

青じその高い抗酸化作用や、豊富なビタミン、ミネラルを摂れ、お肌だけでなく体の中から体の酸化を予防、回復できるレシピです。レモンに豊富なビタミンCも相乗してお肌の他、夏の日差しや気候からくるストレスを改善してくれます。
ただ、ソラレンという紫外線を吸収しやすくし、色素沈着を起こしやすくなる成分も含まれるので、これからたっぷり紫外線に当たる午前中より、夕方のおやつや夕食後などにおすすめです。

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青じそを美味しく食べる調理法

  • 下処理と生食

一般的には薬味として使われていますが、サラダや和え物、酢の物、バジルの代わりにソースにしたり、天日で干してふりかけにしたりと、様々な料理に応用が利き、青じその栄養価の効果もひきだせます。調理の前に青じそは農薬が残留しやすいので、ボウルなどにためた水にしばらくつけておき、両面を軽くこすりながら流水で数回洗ってください。冷水につけておくことにより、シャキッとした食感にもなります。

  • 刻む

刻むときは青じそをまとめて丸めて刻むと切りやすく、細かくしやすいです。細かくきざむほど、香り成分のペリルアルデヒドの効果が引き出され、きざんだ青じそをごはんやパスタ、浅漬けなどにあえて食べると、量をとることもできます。

  • 加熱調理

青じそに豊富なβカロテン、油を使って炒めたり揚げたりすることでビタミンAとしての吸収率が高まります。フライや天ぷらなどの揚げ物には、青じそを巻いたり、炒め物には刻んで加えたりすると、くさみもとれ、ビタミンAの吸収率も高まり栄養効果も上がります。

夏を乗り切るスタミナ維持対策・・・青じそ×雑穀米

夏越ご飯

夏越ご飯

心身の穢れや厄災を祓い清める6月30日の儀式「夏後の祓(なつごのはらえ)」に提供される夏越ごはんは、厄災を祓い清める茅の輪(ちのわ)くぐりの茅の輪に見立て、赤や緑の旬菜で作られた丸いかき揚げを雑穀ご飯にのせた料理です。関西では氷の節句に由来する水無月という和菓子が提供されていますが、関東では近年夏越ごはんが普及推進されています。
栄養価的にも、青じそや雑穀の豊富なミネラル、ビタミンを含んでおり、しっかりエネルギーを取りながら代謝も効率よく行われ、疲労回復につながります。スタミナをつけて夏を乗り越えるのにおすすめのレシピです。

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しそと大葉の違いは?

しそと大葉は同じもので、ジュースやドレッシング、ソースなど、香りを活かして使われていると「しそ」と呼ばれていることが多く、薬味として、また、巻いたり挟んだりして使用される料理の素材なら「大葉」と使い分けるのが一般的。ただ、関西より西では大葉と呼ぶことが一般的ですが、中部地方から東の日本海側はしそと呼ぶところが多くあります。
もともとは、昔、青じそを販売する際にしその芽と葉の区別が必要となり、葉に「大葉」という商品名がついたことが由来。1961年頃、静岡県で青じその葉を束ねて大阪の市場に出荷したのが始まりです。この後、他の地域でも大葉という名前で出荷を開始し、売れ行きが良かったことから、東京市場にも出荷されるようになりました。こうして青じそは大葉という名前で、世の中に浸透しています。

朝・昼ご飯には注意?!

柑橘類に特に含まれているソラレンという成分が、青じそなどの香りの強い食材にも含まれています。これは紫外線に対する感受性を高くし、紫外線を吸収しやすくする作用があるので、ソラレンを含む食べ物を食べてから紫外線を浴びると、肌に赤みやシミ、色素沈着を引き起こす可能性があります。ソラレンは、取り入れてから約2時間で全身に行き渡るので、紫外線をたっぷり浴びる前などには、お肌のことを考えるとソラレンを含むものは控えるのが良いでしょう。ただ、栄養効果が高いものも多く、効能を得るために夕食や夕方のおやつなどでとることをお勧めします。

日本料理教室講師田村 佳子

栄養士/調理師/和憩カルチャースペース主催

大学で海洋水産資源の研究後、大手小売業水産担当として勤務。水産の流通を把握してから栄養士を所得。調理師専門学校の日本料理で勤務し、日本料理の技術と知識を習得した後、独立。2008年和憩カルチャースペースを開設し、得意の魚メインにした日本料理教室を開講している。朝日放送「おはよう朝日です」出演、市場や企業とのタイアップレッスン、行政施設などでの教室開講など活動中。

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